合成樹脂(プラスチック)を切削加工する際のポイントはプラスチックの特性を理解すること!

「切削加工」は、鉄やステンレスなど金属の加工方法としてよく知られていますが、合成樹脂の加工も可能です。
しかし合成樹脂は金属と特性が大きく異なるため、場合により切削加工の難易度が高くなります。
合成樹脂を切削加工するには、その特性を理解しておくことが大切です。

1.精度の高い製品を加工できる切削加工とは?

「切削加工」とは、金属や合成樹脂(プラスチック)などの材料を、切ったり削ったりして加工する方法です。
材料をさまざまな形状に加工できるため、複雑な形状の製品を作成するときなどに切削加工が用いられます。
切削加工には、大きく分けて「旋盤加工」と「フライス加工」の2種類があります。
旋盤加工は加工物を回転させながら固定した刃物で加工し、フライス加工は加工物を固定して回転した刃物で加工する方法です。
どちらの方法においても加工時は、刃物と材料に摩擦熱が発生します。
合成樹脂は金属と比較すると軟らかく、耐熱性が低いため、精度を出すためには工夫が必要になります。

  • お電話は窓口 営業部 中島までアースアテンド 問い合わせアースアテンド 問い合わせ

2.合成樹脂を切削加工する際の3つのポイント

合成樹脂を切削加工するうえで、その特性がどのように影響するか理解しておくことが重要です。
合成樹脂を切削加工する際の注意点を3つご紹介します。

2-1.合成樹脂の特性を理解し、計算しながら加工する

合成樹脂は金属と比較すると耐熱性が低いため、切削加工時の熱への対処が必要です。
一般に切削加工する際の熱による影響は、切削油やクーラントを使用することで調整できます。
しかし精度の高い樹脂製品を作るには、その特性を理解して仕上がりの寸法を計算することが重要です。
また、合成樹脂は金属と比較して熱膨張率が大きいので製造や検査の環境温度にも配慮が必要となります。
熱膨張を考慮し室温の調整や、加工時の熱による変形を考慮した加工条件の設定、
熱による加工後の変形を予測したプログラムが、樹脂製品の仕上がりに影響します。

2-2.バイトやチップなど切削工具の工夫

切削加工に用いる装置には旋盤やフライス盤、それらの応用装置である複合加工機、マシニングセンターなどがあります。
合成樹脂を加工するにはこれらの装置に取り付けるバイトやチップ、ドリル、エンドミルなどの切削工具(刃物)の選定も重要です。

ドリルは穴をあけるための切削工具(刃物)です。
材料に応じドリルの素材も種類があり、穴サイズにより直径や長さを決めます。旋盤、フライス盤どちらでも使用します。

バイトは旋盤加工で使用します。
旋盤で材料を回転させ、バイトを材料に接触させることで、目的の形状になるよう削り出しをするために使用される工具です。
バイトという言葉はオランダ語で工具のノミを意味する「バイテル」から来ていると言われています。

チップとは、バイトの先端部分(刃先)を交換できるようにした、その先端部分の名称です。
チップはインサートとも言います。チップのみを交換することでコスト面で有利になります。交換時間も短縮できます。

エンドミルはドリルと形状が似ていますが、先端だけでなく、外周にも切れ刃を持った切削工具(刃物)で、フライス加工で使用します。フライス盤やマシニングセンターで材料を固定し、高速回転するエンドミルを材料に押し付けることで
正面や側面を削り、所定の形状を作ります。バイト、チップ、ドリル、エンドミル、その他切削工具(刃物)には構造や形状、
材質によって種類があり、目指す製品の形状や材料の特性に合わせて使い分けることが大切です。
正しく使い分けることで製品の精度を上げるほか、作業の効率を高められます。
また、適正なコスト管理をするうえでも、切削工具を工夫することが重要です。

  • お電話は窓口 営業部 中島までアースアテンド 問い合わせアースアテンド 問い合わせ

2-3.合成樹脂の切削加工は切りくず処理にも注意が必要

合成樹脂の切削加工においても加工時の切りくず(切子)に注意する必要があります。
切子の排出がうまく行かないと、製品や材料に絡んで精度悪化の原因になったり、
切削面が悪化したり、切れ味に問題が生じることがあります。
切りくずが、工具に絡み、摩擦熱で溶けてこびりついてしまうこともあります。切りくずが製品を傷つけてしまう可能性もあるのです。
切削加工では切りくず(切子)の出方も計算して製品に影響がでないようにする必要があります。

2-4.素材の残留応力の考慮

合成樹脂材料には素材製造時の内部応力が残っています。
切削加工をすることにより応力が解放され、加工後の製品が反ったり変形することがあり、
高精度な製品になるとこの変形が問題になることがあります。
よって素材やその一次加工材料の段階で内部応力を軽減/除去するためのアニール処理や「静置」などが必要な場合があります。

3.加工事例

PTFE カーボン 天然ゴムなどの切削加工の紹介画像ですPTFE カーボン 天然ゴムなどの切削加工の紹介画像です

PTFE カーボン 天然ゴム など

4.まとめ

切削加工は金属をはじめ、プラスチックや木材の加工も可能です。
いずれの加工でもその素材の特性を理解し加工条件を吟味する必要があります。
合成樹脂(プラスチック)は金属と比較すると、軟らかく、耐熱性が低く、熱膨張率が大きく、
素材の内部応力が問題になることがあり、それらへの考慮が必要です。
これらプラスチックの特性を総合的に検討し、切削工具や切削条件を決定する必要があります。
アースアテンドでは複合加工機、マシニングセンター、各種NC旋盤、汎用旋盤を用いて、
さまざまな合成樹脂(プラスチック)の切削加工部品の製作を承ります。
ご希望の製品に合わせて切削加工以外にも、
溶接加工やウォータージェット加工にて仕上げることも可能です。
合成樹脂(プラスチック)製品のご相談は、弊社までいつでもお気軽にお問い合わせください。

  • お電話は窓口 営業部 中島までアースアテンド 問い合わせアースアテンド 問い合わせ