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PTFEとはどんな素材?PTFEの特徴や加工方法を解説

「PTFE」とはフッ素樹脂の種類の1つでスーパーエンジニアリングに分類される高性能樹脂です。
PTFEは「テフロン®」とも呼ばれ、フライパンのテフロン®コーティングなどで聞いたことがあるかもしれません。
PTFEは優れた特性の高さから、半導体分野や化学工業分野などあらゆる分野で活用されている物質です。
PTFEがどんな素材なのか、特徴と加工方法をみていきましょう。

目次

1.フッ素樹脂のひとつ「PTFE」とは?
2.PTFEの分子構造と特徴
3.PTFEの加工方法
 3-1.PTFEの加工手順
 3-2.成形後は工作機械で加工が可能
4.加工事例
5.まとめ

1.フッ素樹脂のひとつ「PTFE」とは?

「PTFE」とはフッ素樹脂のことで、熱可塑性樹脂というプラスチックのひとつです。
PTFEは、polytetrafluoroethylene(ポリテトラフルオロエチレン)の頭文字をとった呼び方で、
このほかに「四フッ化エチレン」や「4F」と表記されることもあります。
PTFEは耐熱性が高く、電気を通さない絶縁性もあるなど非常に優れた性質を持つのが特徴です。
スーパーエンジニアリングプラスチックという、強度や耐熱性が求められる製品に使用されるプラスチックに分類されます。
また、PTFEは一般的に「テフロン®」として知られていますが、この「テフロン®」という呼び方はデュポン社の登録商標です。

2.PTFEの分子構造と特徴

PTFEの特徴には、非粘着性・低摩擦性・耐薬品性・耐熱性・絶縁性があります。
さまざまなエネルギーに強く耐性があるのは、PTFEの分子構造によるものです。
PTFEの分子構造は、炭素とフッ素が炭素結合して成り立っています。
この炭素結合は非常に強く、フッ素原子が炭素結合を保護しています。
この結合を壊すには大きなエネルギーが必要です。
つまり大きなエネルギーがかからない限り、
炭素結合は壊れない=PTFEは劣化しにくいといえます。
このような分子構造の特徴から、PTFEは
非粘着性・低摩擦性・耐薬品性などといった特徴を発揮します。

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PTFE特徴

非粘着性 くっつきやすい物質がくっつきにくく、くっついたとしても剥がれやすい
低摩擦性 摩擦の抵抗が小さく、とてもすべる
耐薬品性 ほとんどすべての工業薬品や溶剤で溶けたりしない 一部例外あり
耐熱性 連続使用温度は260℃とプラスチックのなかでは熱に強い
絶縁性 絶縁抵抗がプラスチックのなかで最も高く、電気を通しにくい
耐候性 紫外線・湿度・温度・雨などの影響を受けにくい

 

各種充填材入りPTFEの詳しいご紹介は下記リンクへ


3.PTFEの加工方法

PTFEは加熱によって柔らかくなり、形を自由に変えられる熱可塑性樹脂に分類されます。
しかしPTFEは溶解粘度が高いため、一般的な熱可塑性樹脂のように溶解成形(加熱して溶かし冷却して固める)が難点です。
PTFEを成形するには、専ら粉末冶金(ふんまつやきん)が用いられています。
粉末冶金とは、粉末の原料を金型に入れて圧縮して固め、高温で焼成して加工する方法です。

3-1.PTFEの加工手順

PTFEは、融点まで加熱すると溶解する前に気化してなくなります。
そのため成形するには、粉末の状態から加工する必要があります。

1.製品の形に近い金型に粉末状の原料を入れ、圧縮したのち360℃〜380℃で焼成します。(火加熱融着)
2.金型から取り出した粉末状の固まりをそのまま炉に入れ、焼成後にそのまま冷却して形状を仕上げます。
3.炉から取り出したのち、複雑な形状の製品に切削加工などの機械加工で仕上げていきます。

3-2.成形後は工作機械で加工

PTFEの成形は、製品の精度をあげるため成形後に加工が必要です。
切削加工やウォータージェットなどを用いることで、PTFEは比較的簡単に自由な形状に加工できます。
その他、曲げ加工や溶接加工、打ち抜き加工などを用いればより複雑な加工も可能です。

4.加工事例

PTFE カーボン 天然ゴムなどの切削加工の紹介画像ですPTFE カーボン 天然ゴムなどの切削加工の紹介画像です

PTFE カーボン 天然ゴム など

 

5.まとめ

PTFEとはフッ素樹脂の種類のひとつで、優れた特性からスーパーエンジニアリングプラスチックに分類されます。
特殊な用途で、さまざまな業界で利用されており、PTFEは今日では欠かすことのできない物質です。
アースアテンドのPTFE製品は、半導体関係・自動車関係・医療関係など多くの分野でご活用いただいております。
弊社では複合加工機・マシニングセンター・各種NC旋盤・汎用旋盤などを用いた機械加工と、
そのほかにも溶接加工や、曲げ加工打ち抜き加工などが可能です。
PTFE製品をご検討の際は弊社へお気軽にご相談ください。

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2024年11月11日

PTFE(テフロン)を切削加工する際のポイントはプラスチックの特性を理解すること!

「切削加工」は、鉄やステンレスなど金属の加工方法としてよく知られていますが、PTFEなどの合成樹脂の加工も可能です。
しかし合成樹脂は金属と特性が大きく異なるため、場合により切削加工の難易度が高くなります。
PTFEなどの合成樹脂を切削加工するには、その特性を理解しておくことが大切です。

目次

1.精度の高い製品を加工できる切削加工とは?
2.PTFE(テフロン)を切削加工する際の4つのポイント
 2-1.PTFE(テフロン)の特性を理解し計算しながら加工する
 2-2.バイトやチップなど切削加工の工夫
 2-3.PTFE(テフロン)の切削加工は切りくず処理にも注意が必要
 2-4.材料の残留応力の考慮
3.加工事例
4.まとめ

1.精度の高い製品を加工できる切削加工とは?

「切削加工」とは、金属やPTFEなどの合成樹脂(プラスチック)などの材料を、切ったり削ったりして加工する方法です。
材料をさまざまな形状に加工できるため、複雑な形状の製品を作成するときなどに切削加工が用いられます。
切削加工には、大きく分けて「旋盤加工」と「フライス加工」の2種類があります。
旋盤加工は加工物を回転させながら固定した刃物で加工し、フライス加工は加工物を固定して回転した刃物で加工する方法です。
どちらの方法においても加工時は、刃物と材料に摩擦熱が発生します。
PTFEなどの合成樹脂は金属と比較すると軟らかく、耐熱性が低いため、精度を出すためには工夫が必要になります。

2.PTFE(テフロン)を切削加工する際の4つのポイント

PTFEを切削加工するうえで、その特性がどのように影響するか理解しておくことが重要です。
PTFEを切削加工する際の注意点を3つご紹介します。

2-1.PTFE(テフロン)の特性を理解し、計算しながら加工する

PTFEは金属と比較すると耐熱性が低いため、切削加工時の熱への対処が必要です。
一般に切削加工する際の熱による影響は、切削油やクーラントを使用することで調整できます。
しかし精度の高い樹脂製品を作るには、その特性を理解して仕上がりの寸法を計算することが重要です。
また、PTFEは金属と比較して熱膨張率が大きいので製造や検査の環境温度にも配慮が必要となります。
熱膨張を考慮し室温の調整や、加工時の熱による変形を考慮した加工条件の設定、
熱による加工後の変形を予測したプログラムが、PTFEなどの樹脂製品の仕上がりに影響します。

2-2.バイトやチップなど切削工具の工夫

切削加工に用いる装置には旋盤やフライス盤、それらの応用装置である複合加工機、マシニングセンターなどがあります。
合成樹脂を加工するにはこれらの装置に取り付けるバイトやチップ、ドリル、エンドミルなどの切削工具(刃物)の選定も重要です。

ドリルは穴をあけるための切削工具(刃物)です。
材料に応じドリルの素材も種類があり、穴サイズにより直径や長さを決めます。旋盤、フライス盤どちらでも使用します。

バイトは旋盤加工で使用します。
旋盤で材料を回転させ、バイトを材料に接触させることで、目的の形状になるよう削り出しをするために使用される工具です。
バイトという言葉はオランダ語で工具のノミを意味する「バイテル」から来ていると言われています。

チップとは、バイトの先端部分(刃先)を交換できるようにした、その先端部分の名称です。
チップはインサートとも言います。チップのみを交換することでコスト面で有利になります。交換時間も短縮できます。

エンドミルはドリルと形状が似ていますが、先端だけでなく、外周にも切れ刃を持った切削工具(刃物)で、フライス加工で使用します。フライス盤やマシニングセンターで材料を固定し、高速回転するエンドミルを材料に押し付けることで
正面や側面を削り、所定の形状を作ります。バイト、チップ、ドリル、エンドミル、その他切削工具(刃物)には構造や形状、
材質によって種類があり、目指す製品の形状や材料の特性に合わせて使い分けることが大切です。
正しく使い分けることで製品の精度を上げるほか、作業の効率を高められます。
また、適正なコスト管理をするうえでも、切削工具を工夫することが重要です。

 

 

 

 

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2-3.PTFE(テフロン)の切削加工は切りくず処理にも注意が必要

PTFE(テフロン)の切削加工においても加工時の切りくずに注意する必要があります。
切りくずの排出がうまく行かないと、製品や材料に絡んで精度悪化の原因になったり、
切削面が悪化したり、切れ味に問題が生じることがあります。
切りくずが、工具に絡み、摩擦熱で溶けてこびりついてしまうこともあります。切りくずが製品を傷つけてしまう可能性もあるのです。
切削加工では切りくずの出方も計算して製品に影響がでないようにする必要があります。

2-4.材料の残留応力の考慮

合成樹脂材料には素材製造時の内部応力が残っています。
切削加工をすることにより応力が解放され、加工後の製品が反ったり変形することがあり、
高精度な製品になるとこの変形が問題になることがあります。
よって材料やその一次加工材料の段階で内部応力を軽減/除去するためのアニール処理などが必要な場合があります。

3.加工事例

PTFE カーボン 天然ゴムなどの切削加工の紹介画像ですPTFE カーボン 天然ゴムなどの切削加工の紹介画像です

PTFE カーボン 天然ゴム など

4.まとめ

切削加工は金属をはじめ、プラスチックや木材の加工も可能です。
いずれの加工でもその素材の特性を理解し加工条件を吟味する必要があります。
合成樹脂(プラスチック)は金属と比較すると、軟らかく、耐熱性が低く、熱膨張率が大きく、
素材の内部応力が問題になることがあり、それらへの考慮が必要です。
これらプラスチックの特性を総合的に検討し、切削工具や切削条件を決定する必要があります。
アースアテンドでは複合加工機、マシニングセンター、各種NC旋盤、汎用旋盤を用いて、
さまざまな合成樹脂(プラスチック)の切削加工部品の製作を承ります。
ご希望の製品に合わせて切削加工以外にも、
溶接加工やウォータージェット加工にて仕上げることも可能です。
合成樹脂(プラスチック)製品のご相談は、弊社までいつでもお気軽にお問い合わせください。

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2024年11月12日

ガスケットとは?パッキンとの違いや種類・特徴を解説

ガスケットとは、機械や配管などの部品の間に挟み、隙間をふさぐことで、液体や気体の漏れを防ぐシール材のことです。
このページでは、ガスケットとパッキンの違い、材質や特長を解説いたします。

目次

1.ガスケットとパッキンの違い
 1-1.ガスケットは配管用フランジなど静止箇所の漏れ止めに使用される
 1-2.パッキンは動く部分に使用される
2.ガスケットの材質と特徴
 2-1.ジョイントシート
 2-2.フッ素樹脂ガスケット
 2-3.ゴムガスケット
 2-4.メタルガスケット・セミメタルガスケット
3.まとめ

1.ガスケットとパッキンの違い

ガスケットとパッキンは、どちらもシール材として使用されますが、使用される箇所に違いがあります。

1-1.ガスケットは配管用フランジなど静止箇所のシール材として使用される

ガスケットは、配管フランジなどパイプの継ぎ目が動かない静止箇所の漏れ止めに使用されます。
たとえば水道管や焼肉屋の煙を吸うダクトなどで、配管と配管の間に挟んで使われるのがガスケットです。
このガスケットがないと、配管と配管の隙間から流体が漏れ続けてしまうので、
ガスケットは漏れ止めとして欠かせない存在となっています。

1-2.パッキンは動く部分に使用される

パッキンは、ガスケットと同様にシール材として使用されます。
パッキンとガスケットの違いは、動く部分の漏れ止めとして使用されるということです。
たとえば、自動車やバイクのエンジンやポンプ、身近なところでは、水道の蛇口、お弁当や水筒のフタに使用されています。

2.ガスケットの材質と特徴

ガスケットは、材質の違いによってそれぞれ特徴が異なるため、使用する場所や用途にあったものを選ぶことが大切です。
ここでは、ガスケットの主な4種類を解説します。

2-1.ジョイントシート

ジョイントシートとは、繊維やゴム、耐熱充填材などを配合して加熱圧縮し、シート状にしたガスケットの材料です。
耐圧、耐熱、耐油、耐薬品、耐ガス用などさまざまな種類があります。

2-2.フッ素樹脂ガスケット

PTFEを代表するフッ素樹脂は化学的に安定しており、耐薬品性やクリーン性に優れています。
PTFEガスケットは、食品業界、医療業界、化学工場などの産業で幅広く使用されています。

2-3.ゴムガスケット

ゴムガスケットは、ゴムの弾性により高いシール性があります。材質が豊富にあり、様々な流体に使用可能です。

2-4.メタルガスケット・セミメタルガスケット

セミメタリックガスケットは、ジョイントシートなどの非金属ガスケットでは耐えられない過酷な温度・圧力の環境で使用されます。
石油化学工業、火力発電、原子力発電、船舶、自動車など様々な産業分野で使われています。

3.まとめ

ガスケットには様々な種類があり、破損などによる漏れを防ぐためにも環境にあった材質を選定することが大事です。
弊社では、様々なガスケット材料を豊富に取り揃えています。
ぜひお問い合わせください。

2024年11月19日