「PTFE」とはフッ素樹脂の種類の1つでスーパーエンジニアリングに分類される高性能樹脂です。
PTFEは「テフロン®」とも呼ばれ、フライパンのテフロン®コーティングなどで聞いたことがあるかもしれません。
PTFEは優れた特性の高さから、半導体分野や化学工業分野などあらゆる分野で活用されている物質です。
PTFEがどんな素材なのか、特徴と加工方法をみていきましょう。
1.フッ素樹脂のひとつ「PTFE」とは?
「PTFE」とはフッ素樹脂のことで、熱可塑性樹脂というプラスチックのひとつです。
PTFEは、polytetrafluoroethylene(ポリテトラフルオロエチレン)の頭文字をとった呼び方で、
このほかに「四フッ化エチレン」や「4F」と表記されることもあります。
PTFEは耐熱性が高く、電気を通さない絶縁性もあるなど非常に優れた性質を持つのが特徴です。
スーパーエンジニアリングプラスチックという、強度や耐熱性が求められる製品に使用されるプラスチックに分類されます。
また、PTFEは一般的に「テフロン®」として知られていますが、この「テフロン®」という呼び方はデュポン社の登録商標です。
2.PTFEの分子構造と特徴
PTFE特徴
非粘着性 | くっつきやすい物質がくっつきにくく、くっついたとしても剥がれやすい |
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低摩擦性 | 摩擦の抵抗が小さく、とてもすべる |
耐薬品性 | ほとんどすべての工業薬品や溶剤で溶けたりしない 一部例外あり |
耐熱性 | 連続使用温度は260℃とプラスチックのなかでは熱に強い |
絶縁性 | 絶縁抵抗がプラスチックのなかで最も高く、電気を通しにくい |
耐候性 | 紫外線・湿度・温度・雨などの影響を受けにくい |
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3.PTFEの加工方法
PTFEは加熱によって柔らかくなり、形を自由に変えられる熱可塑性樹脂に分類されます。
しかしPTFEは溶解粘度が高いため、一般的な熱可塑性樹脂のように溶解成形(加熱して溶かし冷却して固める)が難点です。
PTFEを成形するには、専ら粉末冶金(ふんまつやきん)が用いられています。
粉末冶金とは、粉末の原料を金型に入れて圧縮して固め、高温で焼成して加工する方法です。
3-1.PTFEの加工手順
PTFEは、融点まで加熱すると溶解する前に気化してなくなります。
そのため成形するには、粉末の状態から加工する必要があります。
1.製品の形に近い金型に粉末状の原料を入れ、圧縮したのち360℃〜380℃で焼成します。(火加熱融着)
2.金型から取り出した粉末状の固まりをそのまま炉に入れ、焼成後にそのまま冷却して形状を仕上げます。
3.炉から取り出したのち、複雑な形状の製品に切削加工などの機械加工で仕上げていきます。